はじめに

腰痛に悩む人は多いですが、その原因を理解するためには、まず「腰椎」の特徴を知ることが大切です。
腰椎には他の背骨とは異なる特徴的な構造があり、それが腰痛の発生にも関係している可能性があります。
今回は、解剖学の視点から腰椎の特徴を解説し、それを踏まえた腰痛予防のポイントをお伝えします。
腰椎は肋骨に守られていないため、不安定になりやすい
(1) 腰椎には肋骨がない
腰椎は、胸椎のように肋骨に囲まれていません。
胸椎は肋骨とつながることで外部からの衝撃を受けにくく、安定した構造を持っています。しかし、腰椎にはそのような「外的な保護」がないため、動きやすく、不安定になりやすいのです。
(2) だからこそ、体幹で守る必要がある
腰椎が不安定で動きやすいからこそ、周囲の筋肉によるサポートが重要です。
特に腹横筋、腹斜筋や多裂筋といった体幹の筋肉を鍛えることで、腰椎の安定性を高め、腰痛のリスクを減らすことができます。
腰椎は体重を支えるのが得意だが、ねじる動きには弱い
(1) 腰椎は縦の負荷に強い
腰椎は、人間の体重を支えるために、上下方向(縦の方向)に強い構造をしています。
上下の椎体の間には、椎間関節というものがあります。椎体同士の噛み合わせをイメージすると良いですが、これが上下方向(頭から足方向)の構造となっております。
また椎体の間には、クッションの役割をする椎間板も存在します。
そのため、立つ・座るといった状態では安定して体重を支えることができます。
(2) 横方向やねじる動きは苦手
しかし、腰椎は横方向の動きや捻る(ひねる)動作にはあまり適していません。
腰椎の関節の形状は前後方向の動きには適していますが、左右にひねる動きには制限があります。
そのため、無理なひねり動作を繰り返すと、腰椎に負担がかかり、腰痛の原因になってしまいます。
(3) 腰椎の構造を理解して、適切な動きを意識する
腰をひねる動作をするときには、腰だけでなく胸椎や股関節も一緒に動かすことを意識することが大切です。
たとえば、ゴルフやテニスなどのスポーツでは腰をひねる動作が多くなりますが、腰椎だけに頼るのではなく、全身をうまく使うことで負担を分散できます。
4. まとめ
腰椎は、肋骨に守られていないため不安定になりやすく、体幹の筋肉で支えることが重要です。
また、体重を支えるのは得意ですが、ねじる動きには弱いという特徴があります。
この解剖学的な特徴を理解し、日常生活やスポーツの動作の中で腰への負担を減らす事が出来れば、腰痛を予防することが期待出来ます。
腰痛を防ぐためには、体幹トレーニングや正しい動作の意識がカギになります。
自分の体の構造を知り、適切なケアをすることで、腰痛を防ぎながら快適な生活を送りましょう!