腰痛は難しい
腰痛と一言で言っても、原因、痛み方や痛む場所は人によって異なります。さらに、それが腰自体の問題なのか、他の内臓器官が原因なのかを見極めることが重要です。
ここでは、臨床で比較的頻度が多いと思うものを主観的に説明しています。救急病院で10年以上勤務し、現在はスポーツ整形外科で勤務しているしている経験からお話させて頂きます。
ぎっくり腰(急性腰痛症)による痛み
ぎっくり腰は、急に腰に痛みが走り、動けなくなる症状で、臨床現場でも非常によく見られます。
私はくしゃみをして一発でなった経験もありますし、特に誘因はなく長時間座っていてなってしまった事も多数あります。
しかし、この「ぎっくり腰」という言葉で括られる症状は、人によって感じ方や状態が異なります。以下に、主なパターンを挙げてみます。
下部腰椎の真ん中に痛みを感じる場合
整形外科で多くの方が訴えるのが、腰の中心部(下部腰椎)です。両手で写真のように示す方が多いです。

この場合、痛みはあるものの、歩行は出来ている印象を受けます。日常生活は制限されますが、何とか動ける場合が多いかなと推測します。
横方向や前後方向に歪んでしまう場合
ぎっくり腰の中でも、特に痛みが強い場合には、身体が傾いたり、曲がってしまったりすることがあります。

私はこのように、横方向に曲がってしまう場合が多いです。朝起きる時が激痛で、歩行も困難です。
整形外科では、前後方向のくの字型に曲がってしまっている方も多く見ます。
慢性腰痛
慢性腰痛は、長い期間腰に鈍痛があることを言います。
私は右腰や臀部周囲に疼痛がありました。中でも代表的なものは坐骨神経痛になります。
坐骨神経痛
腰痛と同時にお尻・股関節周囲や太ももに痺れや痛みを感じる場合、坐骨神経痛が疑われます。
臨床で、圧倒的に多いです。MRIなどの画像検査で明かな異常を指摘出来ない場合は、坐骨神経痛と思っても良いかもしれません。
その他、痛む場所から考えられる原因
腰痛を訴える患者さんの中には、腰そのものではなく、他の部位からの関連痛である場合もあります。画像検査で異常を特定できる場合もありますので、いくつかご紹介します。
尿管結石による痛み
尿管結石が原因の痛みは、腰痛と混同されやすい症状のひとつです。
尿管結石による痛みの特徴は以下の3つです。
- 痛む箇所 片方の背部や側腹部が多い
- 痛み方 救急車を呼ぶくらいの痛みのことが多い
- 叩打痛(患部を軽く叩くと痛みが強くなる症状)を伴うこと

尿管結石では、この痛みが波のように強くなったり弱くなったりすることもあり、時には吐き気や血尿を伴うこともあります。
これらの特徴から、腰の痛みと区別することが可能ですが、症状が曖昧な場合は専門医の診断を受けることが大切です。
上部腰椎や胸椎近くの痛み
背骨自体が原因の事も考えられますが、膵臓や大動脈などの内臓疾患であることもあります。
救急病院では、背部痛を訴える方で心筋梗塞の方もいらっしゃいました。
肩甲骨周囲の痛み
ぎっくり腰でなく、ぎっくり背中の症状を訴える方も多いです。姿勢の悪さや筋肉の疲労が原因のこともあります。
痛みの感じ方と心理的要因の関係
腰痛は、心理的な要因が関与している場合もあります。
同じ痛みでも「耐えられる」と思う人もいれば、「動けないほど辛い」と感じる人もいます。特にぎっくり腰のような急性の痛みでは、驚きや不安が痛みを増幅させることがあります。
まとめ
腰痛やその関連痛は、原因によって痛む場所や痛み方が異なります。
その煩わしい腰痛を改善するために、まずは医師に相談することが重要です。
そして異常がないと言われた場合や原因を特定出来ない場合は、他の選択肢に対してアプローチすれば良いと思います。
腰痛に悩む方が、少しでも快適な日常を取り戻せるよう願っております。